画質の変化に現れる症状 1


画質−YCずれ(色にじみ)YCズレ(色にじみ)


絵の輪郭(輝度信号のエッジ)と色の輪郭の位置が合わない画像。輝度に対し色が画面で右へはみ出ていれば色遅れ,左にはみ出ていれば色進み。

映像信号処理系の輝度信号と色信号の処理に時間差がある場合に発生。記録時に発生するものと、再生時に発生する物がある。時間差があまり無ければ、輝度あるいは色信号の立ち上がりたち下がりが鈍り,だらだら立ち上がる(たち下がる)ために輪郭がぼやけてにじむ色にじみと見た目に区別がつきにくい。いずれにしろ見た目で許容可能なのはYCの時間差にして最大100〜150ns相当程度。それ以上ははっきりわかるので改善の必要がある。写真は基準テープを再生したときの色遅れの様子。注目点;女性のイヤリングのオレンジのはみ出し、カラーバーのイエローとシアンの間、赤と青の間など。
YC時間差は設計時に決まってしまうのでユーザーのチューニングでどうなるものではないが、最近はデジタルNRやTBC付きのミドルアッパークラスのSVHS機にはYC時間差の調整が出来る機種もある。(例 Victor HR−X5 ふ、古い^^;)

YCディレイ有り YCディレイ有り YCディレイ無し


画質−Yざらつき(S/N悪い)

均一な平面や広い面積の同じ色の部分(空や車のボンネットなど)が,ざらざらしてノイズ感が出ている状態。

ヘッド汚れで記録/再生の感度が低下しCNが悪化している、テープの自体へのヘッドタッチが悪く十分な信号が得られない、などが考えられる。またヘッドは正常でも、輝度FM系の再生回路特性(特に高域)が必要以上に伸びており,さらにYFMキャリアの上側のあたりに余計なピークを持っている場合,十分な信号感度があっても高域の潜在的なノイズを拾ってしまい、相対的にC/Nの低下を招く。これは回路設計上の問題である。

チューナー受信感度が低いなど記録する源信号に問題が有ってノイズになる場合もある。

Yザラツキ

最近のメカでは3倍ヘッドに19μヘッドを搭載するのが当たり前になってきているが、これはクロマ成分のトラック間クロストークが減る半面、再生ヘッド幅が狭いために信号感度が低くなり上記C/N的には厳しい面が有る。当然輝度へのノイズが増える可能性は高い。現に再生時にヘッドの幅を切替えられる機種の場合、EDITモードで幅広とジャストヘッドを切替えてみると、ざらざら感が変わるのがわかる場合がある。

画質−エッジノイズ

輝度信号の輪郭部,白から黒への立ち下がりや黒から白への立ち上がりに,ざわざわした幅広のノイズがが発生する,白より輝度の高いギラギラ(ジラジラ)したノイズが発生する,等の現象が見られる状態。リンギングやスメアといった症状と同時に発生する場合が多い。自然画では輪郭がぼけて汚く見えたり逆に,ギラギラして目につく様な絵柄に見える。
輝度FM系のC/N不足,高低域のバランスが悪い,輝度エンファシス(ディエンファシス)のアンバランスなどが原因で発生する。再生するテープによっても発生の仕方が異なる。また評価する絵柄によっても見え方(感じ方)が違う。無論モニターによっても大きく影響されるため,比べるには評価する場合の条件を一定にそろえる事が重要。特にテストアライメントテープと市販のソフトテープや自己録再の特性は大きく異なっている事が多く,評価時はどちらにウェイトを置いて評価すべきか把握しておかないと正しい設計評価が出来ない。

エッジノイズ 正常なモノスコ

通常デッキの自己録再では発生しにくいが、テープの銘柄との組み合わせによってははっきりわかるほど発生することがある。大抵の場合これらは記録時のヘッド電流(記録電流)とテープの最適記録電流があっていないことが原因である。これを合わせるために記録電流を微調する機能を搭載することが最近のデッキではデフォルトになってきている?

画質−信号間クロストーク

複数の信号入出力ライン同士で,信号同士が互いに干渉し画面上で相手の信号成分がゴーストのように薄く被って見える。基板の信号パターン間距離が近くラインインピーダンスが高い場合起こりやすい。ビデオ信号ケーブル同士を束ねたりすると、シールド効果の低いケーブルの間でクロストークが発生することがある。

写真の例は、ビデオのOSDブルーバック画面にライン入力したモノスコがかぶった例。基板の入出力配線パターンが近接しながら併走していた部分でのクロストークが原因。

4〜5万クラスのビデオセレクターやミニコンについている簡易のAVセレクターにおいて、通常の信号(チューナーの受信動画やテープの再生動画)では干渉しないものの、テストパターン(100IREカラーバーなど)を入力した場合にわずかに〜はっきり色が干渉する症状が発生することがよくある。これはパターン間だけではなく、GNDが弱い場合GNDを通して信号ホットラインに逆流が起こる事によるものである可能性が高い。

クロストーク例


画質−クロマH段差

カラーバーなどの色の強い画面で走査線が1ライン毎に輝度差(正確には色の彩度が段違いになる)を持ち,画面が簾状に細い横縞を生じる状態。

再生のCNRやCOMBフィルター回路の遅延色信号と正規色信号との位相が狂っている場合に見られる。大抵はCCDなどの遅延回路で位相調整を会わせ込めば解消する。

他にテープのビデオトラックで、隣接トラック間のクロストーク混入量が大きく低域変換クロマがライン毎〜数ライン毎に干渉によりレベル変動を起こした場合,ACCでその差を吸収しきれない等によっても同様の症状が起こる事がある。

H段差


画質−スメアー,リンギング,オーバーシュート

スメア=画面で輝度変化の激しい輪郭部分が,楔型で尾を引いたように右側に薄暗く伸びる。
リンギング=輪郭に沿って右側に細い白い線が2重3重に重なってゴーストのように見える。
オーバーシュート(プリシュート,アンダーシュート)=輪郭の立ち上がりの右側により白い細い筋が1本だけ出るのがオーバーシュート,立ち下がりの右に,より黒い線が出るのがアンダーシュート。(アンダーシュートは画面で見てもほとんど分からないが波形で見れば存在する。)輪郭の左に現われる物をプリシュート。
monosco_smere.gif ←画像は同じ
スメア リンギング オーバーシュート 正常
スメア波形 リンギング波形 O.S波形 正常波形

復調後の輝度信号の立ち上がり立ち下がりの鈍り(=輝度FM再生系での高周波特性の落ち込みや低下による)がスメアになる。また逆にピークを持つとオーバーシュートに,ピークが過剰で発振(振動)気味になるとリンギングになる。主に記録と再生のエンファシスが完全に合わないことが原因。適度なオーバーシュートやプリシュート,アンダーシュートは,見た目の先鋭度が増加し絵が良く見えるので副作用に注意しながら一定量を持たせるように設計する事が多い。通常は設計者の経験に基づいて画面で見た絵を基準にエッジの出方を調節する。ただし過度なオーバーシュートやアンダーシュートは,同期分離回路を乱しTV画面で引き攣れの原因になったり,RFモジュレーターOUTでは過変調の原因にもなり得るのでよく注意する必要がある。

標準的な量については規格が無い。

画質−モアレ,波線ビート,縦縞,斜めビート

画面上で細い線,ピッチの細かい縞模様が出ている状態。縞=ビートの向きや形状によって便宜上分類しているが,原因も症状の出方も様々で一意的に分類できない。大雑把に言って高周波発振部分からの被り,記録YCキャリアの干渉,変復調部での周波数ずれなどが要因で起きる事が多い。

信号パターンやGNDの引き回し,本体アースへの落とし方,回路のブロック配置等あるいはフィルターの特性で変化する。基本的に,系統の違う高周波同士を近接させない,GNDを混ぜないなどの設計を心がける事で発生を少なくする事が出来る。

また,これらとは別にチューナーの受信画面のみに現われる同様な形のビートもあるが,これらは上記の被りによる物のほかに,近接チャンネルやイメージチャンネルとの干渉,音声と映像とのクロストーク,チューナー内部の発振キャリアの漏れ出しが原因となっており,特にチューナービートとして区別する事もある。

縦縞,モアレ TUNNERビート Yビート Y縦縞ビート