特集2 D−VHSはテープにより画質が変わるか? 2000/05/04(Thu)

きっかけはある掲示板の議論でした。D−VHSでも記録するテープメディアによって画質が変わるという書き込みがあり、これに対して、理論的に記録テープによって画質が変わることは無いという意見が出されました。私も画質は変化しないと考えましたが、実際変わるんだからという人もいて、では実際はどうなるのかデータで検証してみる必要があるなというこどで、簡単な検証をしてみました。

検証方法テストパターンを収録したテスト用DVDディスクからアナログ(S端子接続)でDR−3000に接続し、テストパターンを各30秒程度STDモードでテープに記録。再生時アナログキャプチャーカードでPCに画像を取り込み、データ(24bit BMP)をAdobe Photoshop5.5Jにて各画像をトリミングしながら1枚の画像にまとめて非圧縮で保存しました。なお、この方法は以下の欠点があります。取り込んだ画質はキャプチャーカードの設定による画質補正の影響を受ける。(取り込みのコントラスト設定、色設定、シャープネス設定等画質に影響する項目の設定値によって取り込まれたデータの画質は変化する。)そのため場合によっては画質情報の一部が欠落したり、加算されたりしてしまい、「オリジナルの画質を絶対比較することはできない。」したがってこの検証はあくまで同じ条件で取り込んだ時のそれぞれのデータ同士の相対的比較となります。それでも比較に際し変化するパラメーターはテープの品種だけになっていますので、テープによって画質が違うならばその変化は観測出来るはずです。今回は使用テープについてクレームが付いたため、現行買える各テープブランドのテープを1本ずつ用意し実験してみました。

検証環境

使用機器

D−VHSデッキ 日立DR−3000 (2000年製造モデル)
アナログ入力−>MPEG2変換記録の付いたS-VHS+V−VHSモデル
DVDプレーヤー SONY DVP−S3000 (1998年製造モデル)
キャプチャーカード トライコーポJVC02 (BrockTree製チップ搭載モデル)

アナログキャプチャーカード

使用ソフト

DVDテストディスク A−BEX TEST DVD−VIDEO TDV−540
NTSC LAyer1/22層ディスク テストパターン静止画映像ビットレート2.6Mbps
75% SMPTE ColorBar, 10Step(monochrome), Ramp、2T&Barパルス

使用テープ

【D−VHSテープ】
マクセル
FUJI
TDK
Victor
SONY
【S−VHSテープ改造】
TDK
FUJI


DF−300E
D-VHS撮り DF−300FA
DF−300DM
DF−300A
DF−300V

XP−T120
S−VHS撮り

テスト尊号

75%SMPTEカラーバー/10STEP/RAMP波形/2T&Pulse BAR/モノスコ(インメガチャート)
結果とりあえずキャプチャーした画像そのままを載せるとサイズが大き過ぎるので、JPEGで圧縮した絵を掲載します。オリジナルのビットマップデータはこちらからダウンロードしてください。各キャプションはオリジナルのデータで検証した結果です。

75%SMPTEカラーバー

一番上はDVDの再生画を直接とりこんだものでオリジナルの比較用信号。

以下各STDモードでの記録再生画像。

生の再生画とそれ以外で違いがあるが、記録再生した方の絵はテープ毎の際は認められない。

DR3000の記録特性により生の絵との差が生じているだけですね。

10STEP

同じく輝度成分飲みでの比較。コントラスト、中間トーンでのノイズ感、輝度変化のリニアリティ、黒レベル、いずれも変化していないといえるでしょう。

ここでもオリジナルDVDの信号は10階調すべてが表現されている状態で、記録再生では9階調目と10階調目が同じになっている。DR3000ではコントラストが強調され白飛び気味になることがよくわかる。

RAMP波形

0IREから100IREまでリニアに変化する波形。

これもテープによる差は無いといえます。

2T&BAR PULSE

エッジの状態およびリンギングやシュートの有無に関して、テープの際は見られないですね。

モノスコ

オリジナルに対してはすべて白浮き気味になる。

解像度はすべて同等。

つまり輝度の周波数特性にも変化は無いといえます。

結論 再生画を相対比較した限り、テープ固有の要因により画質のばらつきは観察出来ません。これをもって言い切ることはできないが、少なくともテープによって信号波形的画質の差異は無いと考えるのが妥当でしょう。無論機械的な強度や表面仕上げ、磁性体塗布方法や種類に起因する再生信号の劣化、欠落についてはテープ毎の差異が生じるでしょう。その場合ドロップアウト(ブロックノイズ)の差、耐久性の差等は存在すると思います。実際今回のテストで、たった1回記録し巻き戻し再生しただけで、テープTOPの部分に磁性体の剥落、エッジの傷が生じたテープがありました。今回の実験では、この点においてテープ毎の差を否定するものではありません。